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# 心に寄り添う訪問看護師たちの物語

医療の現場で、ひっそりと、しかし確かな光を放っている職業があります。それが「訪問看護師」です。病院という枠を超え、患者さんの生活の場に足を運び、医療と生活の架け橋となる彼らの日常には、多くの感動と学びが詰まっています。

## 自宅という特別な医療の場

「病院とは全く違う緊張感があります」

10年以上訪問看護に携わる佐藤看護師はそう語ります。病院では医師や他のスタッフがすぐそばにいる環境とは異なり、訪問看護では一人で判断し、対応しなければならない場面が数多くあります。

「患者さんのお宅に伺うということは、その方の生活史全てを受け入れるということ。お部屋の写真、家具の配置、壁の色まで、全てがその方の人生の一部なんです」

訪問看護の醍醐味は、その人らしさに触れられることにあります。病院という均一化された環境ではなく、その方が長年大切にしてきた空間で医療を提供することで、より深い人間関係を築けるのです。

## 医療を超えた関わり

「血圧を測ったり、注射をしたりという医療行為はもちろん大切ですが、それ以上に『話を聴く』ということが訪問看護の核心かもしれません」と語るのは、訪問看護ステーション「ハートフル」の田中管理者です。

高齢者の多くは、身体的な課題以上に、孤独や不安といった心の問題を抱えています。訪問看護師は、そんな目に見えない痛みにも寄り添います。

ある80代の男性患者さんは、奥様を亡くされた後、食事も十分に取れなくなっていました。田中看護師は医療的ケアと共に、毎回その方の若かりし頃の話に耳を傾けました。「話を聴いてもらえることで、少しずつ表情が明るくなり、食事量も増えていったんです。薬だけでは治せない部分を、人間関係で支えることができる。それが訪問看護の魅力です」

## 家族を支える存在として

訪問看護は患者さんだけでなく、介護をする家族の強い味方でもあります。

「24時間、家族だけで介護を担うのは本当に大変なこと。私たちが訪れる時間は、家族にとって貴重な休息の時間になります」と語るのは、小林看護師です。

終末期の患者さんを自宅で看取りたいという家族の希望を叶えるためには、医療的なサポートだけでなく、家族の精神的な支えが不可欠です。「大丈夫、一人じゃありませんよ」という言葉が、どれほど家族の支えになるか、小林看護師は日々実感しているといいます。

## 地域とつながる医療

訪問看護の役割は、個別のケアにとどまりません。地域の医療資源として、様々な職種と連携する重要な役割も担っています。

医師、薬剤師、ケアマネージャー、ヘルパー、理学療法士など、多職種との連携の中心となることも少なくありません。「患者さんを中心とした『チーム』をいかに効果的に機能させるか、それが訪問看護師の腕の見せどころです」と、多くの看護師が口を揃えます。

地域包括ケアシステムが推進される現代社会において、訪問看護師の果たす役割はますます重要になっています。

## 訪問看護師の喜びと課題

「患者さんの『ありがとう』という言葉が、何よりの原動力です」

多くの訪問看護師が、この仕事の最大の喜びとして、患者さんとの心の触れ合いを挙げます。病院では見られない、その人らしい笑顔に出会えることが何よりの報酬だと言います。

一方で、人手不足や移動時間の負担、緊急対応の精神的ストレスなど、課題も少なくありません。しかし、それを超える価値が訪問看護にはあると、多くの看護師が感じています。

## 未来を見据えて

高齢化社会の深まりとともに、訪問看護の需要は今後さらに高まることが予想されます。「在宅でその人らしく生きる」という選択肢を支えるためには、訪問看護の質と量、両面の充実が不可欠です。

訪問看護師たちは今日も、さまざまな家庭を訪れ、医療という枠を超えた温かなケアを届けています。白衣の天使は、今や病院の中だけではなく、地域の中で静かに、しかし力強く羽ばたいているのです。

心に寄り添い、生活に根ざした医療を提供する訪問看護師たち。彼らの存在が、これからの医療と福祉の架け橋となることでしょう。